健康食品に関する薬機法について弁護士が解説 ~EC事業者のための法律講座(薬機法④)~

執筆者:弁護士 原 隆(はら たかし)

原総合法律事務所 代表弁護士

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 化粧品やコスメなどの美容製品や健康食品を扱われるEC事業者の方は、しばしば「『薬機法』に気を付けないといけない」、という話は耳にされると思います。EC事業者にとって薬機法は特に商品の表示や広告の方法で気を付けなければならない法律です。違反すると刑事事件になって逮捕されてしまったり、巨額の課徴金を課せられたりなど大変なことになってしまう場合があります。今回は、いわゆる健康食品にスポットを当てます。

1 美容・健康関連機器と薬機法

(1)薬機法における美容・健康関連機器の扱い

美容・健康関連とは、一般的に温冷熱・振動・電波・光などを利用して、主に皮膚を清潔にし、美肌を整え、美しい状態を維持する美容目的で使用されている機器や筋肉運動機器を指して。美容に対する行き来の高まりに伴い、家庭でも手軽にスキンケア等が行えるこれらの製品はEC通販においても売り上げを伸ばしている商品です。
美容・医療機器も健康食品と同様に直接薬機法で規制されるのではありませんが、医療機器類似の用法・効果を表示するなどの事情があると、薬機法88条(未承認医療機器の広告の禁止)に違反することとなってしまいます。
それでは、EC事業者はサイト上で美顔器などの美容機器について広告表示をする際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?

(2)事実であれば表示できる範囲

 一般社団法人日本ホームヘルス機器協会が定めた自主基準である「家庭向け美容・健康関連機器適正広告表示ガイドⅣ平成30年度版」によると、 基本的には一般化粧品に認められている55項目の範囲であれば表示が可能 とされています。
(参考)「化粧品の効能の範囲の改正について」厚生労働省医薬食品局長

 

(参考)【美容・健康関連機器で表示できる効能効果(対象部位別)】

対象部位

表示できる効能効果

頭皮、毛髪

 

頭皮、毛髪を清浄にする。香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。頭皮、毛髪をすこやかに保つ。毛髪にはり、こしを与える。頭皮、毛髪にうるおいを与える。頭皮、毛髪のうるおいを保つ。毛髪をしなやかにする。クシどおりをよくする。毛髪のつやを保つ。毛髪につやを与える。フケ、カユミがとれる。フケ、カユミを抑える。毛髪の水分、油分を補い保つ。裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。髪型を整え、保持する。毛髪の帯電を防止する

皮膚

(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。肌を整える。肌のキメを整える。皮膚をすこやかに保つ。肌荒れを防ぐ。肌をひきしめる。皮膚にうるおいを与える。皮膚の水分、油分を補い保つ。皮膚の柔軟性を保つ。皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。肌を柔らげる。肌にはりを与える。肌にツヤを与える。肌を滑らかにする。ひげを剃りやすくする。ひげそり後の肌を整える。あせもを防ぐ(打粉)。日やけを防ぐ。日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ

匂い

芳香を与える。

爪を保護する。爪をすこやかに保つ。爪にうるおいを与える

口唇の荒れを防ぐ。口唇のキメを整える。口唇にうるおいを与える。口唇をすこやかにする。口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。口唇を滑らかにする

口中

ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。口中を浄化する(歯みがき類)。口臭を防ぐ(歯みがき類)。歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 

注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するもので ある。

 

(3)例外

   一般化粧品においては、「乾燥による小ジワを目立たなくする。」という効能の表示も認められていますが、日本香粧品学会の「化粧品機能評価ガイドライン」に基づく試験等を行って、その効能を確認した場合に限るという条件が付されており、美容機器は、この試験ができないなどの理由で除外されています。

2 薬機法のまとめ

 今まで検討してきました通り、EC事業者にとって商品の広告表現においては、薬機法をはじめとする様々な法律をクリアする必要があります。本来であれば、ある程度の知識を持っていてチェックができる法務スタッフを社内に育成・確保して、自社の内部で判断できる仕組みを整えることが望ましいことは言うまでもありません。しかしながら、そのようなリソースを確保することが難しい場合には、この分野に詳しい弁護士と顧問契約等を結び、必要に応じて気楽にチェックを依頼できる仕組みを整えておくことが費用対効果の面でも有益です。

★当事務所(原綜合法律事務所)の顧問契約(月額33,000円~)では、チャットやZOOMをフル活用し、いつでも気軽に相談できる距離感のないサポートを全国のEC事業者の方々にご提供しております。特に、薬機法に関しては以下のサービスがご好評を頂いております。

※サイト上などの広告表現について、薬機法を始めとする様々な法令を考慮に入れてチェックします。)

※貴社が計画しているビジネスモデル自体に違法な点がないかのチェックを致します。

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※本記事は、下記の最終更新日時点の法令及び最新情報に基づくものです。

初回掲載日 令和4年9月6日

最終更新日 令和4年9月23日

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